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ソフトウェアと本の覚え書き

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2013-01-18 [長年日記]

_ [読書] 安積遊歩『癒しのセクシー・トリップ』

著者は骨形成不全という病気を患っていて、体が不自由だったり、骨折を繰り返したりしている。小さいときには効果の望めない痛くてつらい治療やセクシャルハラスメントを経験する。小学校は、はじめは普通学校に通っていてうまく適応していて、特に自己に対する信頼を持ち、自己主張することや障害を持っていることによる困難に際してまわりから自然に助けを得ることができていた。それが、いろいろな状況が重なって施設に入所すると、障害者としての劣等意識を植えつけるような扱いによって自己への信頼が損なわれてしまったと回想している。なんとか施設を出て普通の中学校を卒業してからも自殺を考えるようなつらい日々。そうした経験の後に、障害者の当事者運動に参加し、アメリカでの半年の研修でコウ・カウンセリングに出会う。障害をもっていることの他に、女性としての困難、パートナーとの関係、セクシャリティに関する取り組みを通して自己に対する信頼を取り戻していく。

大変なつらい経験をしていると思うのだが、そういう部分はさらっと書いていて、著者の人間的な余裕というか、本を書いた時点での生活の充実ぶりを感じた。好きになる人が健常者ばかりで自分自身の中にも障害者に対する差別心を感じたということが一例だが、著者の自分をモニタリングする能力には感心しきりだ。施設では健常者がモデルで障害者を健常者に近づけようと考えているため、車椅子をできるだけ使用させないといった不合理な対応や、障害者本人の訴えによる必要性より医者の診断書の方が重視されるとか、『リハビリの夜』や『困っているひと』を思い出すような問題も。こういう問題については、財政的な制約から現在の方がひどい状況になっているということがないことを願いたい。

おすすめ度:★★★★★

癒しのセクシー・トリップ